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『もしもし、俺だ。……今、家か?』
『どうしたんだ。 何かあったのか?』
( だってさ ) 声を出さずにそう言って、神尾さんは私に携帯を渡した。
動揺して突き返しそうになる。でも、それはできない。
電話を切るのも駄目だ。 不自然過ぎる。
深呼吸して、携帯を耳に当てた。
「い、今、 ちょうどシャワー浴びてたから、慌てちゃって」
神尾さんの指先が、ショーツの上から敏感な部分をスッと撫でさすった。
睨み付けても神尾さんは愉しそうに笑っているだけ。
閉じようとした足を押さえつけて、ショーツの脇から指を刺し入れる。
「ぅ……」
きつく唇を噛んで必死に堪えているのに、神尾さんの指の動きに、喉の奥から上ずった声が出そうになる。
『……大丈夫か?
調子が悪そうだけど』
「う……ん。
ちょっと湯あたりしたみたい」
『そうか。
家の電話にも携帯にも何度か電話したんだが…』
「いつもより長湯……してた、の。
だ、大丈夫。 ごめんな……さい」
我ながら、よくスラスラと口からでまかせが出てくると思う。
その間も、神尾さんの指は私の中でうごめく。
『ならいいが……このところ、ロクに連絡も取れなかったから』
慎一郎の声が鼓膜を震わす。 そのたびに、錯覚を起こしてしまう。
いつもよりもっと。
もっと欲しくなる。あなたの声が。
「く……」
慎一郎じゃない指の動きが意思とは反して滑らかになる。
神尾さんの指が私の体液で濡れてゆくのを感じていた。
愉しそうに歪ませた唇を舐めながら濡れた指の腹で先端に体液を絡ませてゆく。
『できるだけ携帯が通じるようにはしておくよ。
あと、一度くらい様子を見に行ってくれと、浅野にも言ってあるから、顔を見せるかもしれない。
それじゃ、また連絡する。 おやすみ』
「……おやすみ、なさい」
プツリと電話が切れた。
今までこの電話で慎一郎と繋がっていたのに。
切れた途端、長い指を奥まで突き入れられて激しく身をよじった。
「んあっ……は……あ、や……ああっ! あっ!」
「やっぱりダンナの声はひと味違った?」
指が、一番深いところでうごめいている。
「くっ、他の男の指を咥えながらする会話じゃなかったよな。 本当に気付かれなかった?」
「ひど……いっ! あっ」
屈辱と羞恥がさらに気持ちを高ぶらせてゆく。
言葉が言葉にならない。
それでも怒りをぶつけずにはいられなくて。
「あの人からだっ……て知って……!」
「だからだよ。 君の旦那だから。 良いスパイスになっただろ?」
「こ、こんなことが、そんなに、愉しいの……っ?」
「愉しいよ。君だって愉しんでるだろう。 それにね、君はひとつ間違ってる」
「俺は、誰に対しても意地悪なわけじゃない。 君を虐めるのが愉しいだけだよ」
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