| 榛名は首を折るようにして、私の肩に顔を伏せた。
体に手は回さない。 抱きしめず、ただ、囁く。 「俺にはもう、オネーサンだけだから。 ね、俺のものになってよ」
「っ……」 「他に何もないんだ、俺。
けど何もなくなっても、オネーサンが俺のものになるんだったら、それでいい」 「榛……」
榛名が私の手を掴む。 震えてるかと思ったけれど、そんなことはなくて、ただ、いつもより握り方が頼りなかった。 まるで幼い迷子のようだ。
「この手まで失くしたら、俺は……」 つい、さっき、私の家で何もいらないといった榛名が、今は私に縋りついてる。
……胸が引き裂かれそう。 「……オネーサン」 下から見上げるように、榛名が私にキスした。
少し強引に、床に私を押し倒す。 「……ごめん、抱くよ」 「……どうして謝るの?」
それには答えず、榛名は少しだけ、笑った。
雨の音がする。 波の音よりも強く、胸を掻き乱すような、雨の音。 「んっ、は、はぁ、オネーサン、好き、だよっ……!」
私の両手首をつかんで、床に押し付けるように榛名が口づける。 「ぅっ―――!」
体の中で硬いものが身を捩る感覚。閉じようとする中を榛名が抉じ開ける。粘膜同士が擦り合って嵐のような快感が生まれて、飲み込まれる。
「あ、ああ、んっ、は、……ッ!」 「は、も、このまま、死にたい……っ」
――――雨が。 誰かの叫び声のように、音を立てて、苦しげに。 「榛名、あ、んっ……!」
ギチっと体の奥から音が響く。激しい抽送に思わず脚を閉じそうになり、間にある榛名の体で阻まれる。
「そ、そんな、奥に、入らな……っ!」
「くっ……!」
「ああッ……!!」
繋がった場所が熱く、膨らんでいるようだ。 もうこれ以上入らないと思っているのに、限界を超えて榛名が捩じ込まれる。 「オネーサ……は、くぁ……ッ!」
濡れた土の匂い。 海の匂い。 榛名の汗の匂い。 むせかえる混じり合った体液の、匂い。 「あぁっ………はぁっ……はぁっ…はぁっ……」
押し出されて息が漏れる。その唇に、噛み付くように榛名がキスをする。汗が浮かんだ肌が触れ合って、滑る。榛名の匂いと、野生の生き物のような臭い。もうどちらのものかはわからない。
「は、気持ちいい、ねぇ、オネーサンッ……!」 顔を歪めるように、榛名が笑う。
雨の音が、より一層大きくなる。 「もう戻れないよ、……はぁっ……こんな、オネーサンの乱れるとこ、知っちゃったら……」
「はぁっ……くぁっ…すげぇ…中、吸いついてくる……」 「このまま、イっちゃえよっ……!」
突然榛名が自分を引き抜いて、指で花芯を弄んだ。 「あぅッ!!」
強すぎる刺激に悲鳴じみた声が上がる。 「や、ダメ、指は、や、あ、ああッ!」
「く……ッ!」 衝撃。頭がくらくらした。 弄られて収縮したその場所を、榛名が貫いた。全身がガクガク震えて、直後、
「ああ―――ッ!」
「うあッ……!」 すべてが止まる、一瞬。 何もかもが色を失って、榛名の体が私の上に崩れ落ちる。
「…………」 意識を手放す直前、 雨音に交じって、榛名が私の名を呼んだ、気がした。
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