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◆ ◆ ◆
【 聡 】
【 智也 】
【 遊佐 】
【 周藤 】
「…なあ」
「え?」
そんな私の空気を察知したのか、智也が少しくぐもった声で呟く。
「もしかして、…無かった事にされてる?こないだの」
「っ……」
後ろから、抱き締められた。
腕ごと私の体を締め付ける智也の逞しい腕。背中に密着する、熱くて、広い胸…。
「…おれ、やっぱり…諦められない」
「智也……」
「こんな気持ちになるの、お前だけなんだ。…以前は、守りたいだけだと思ってた。家族みたいに…。だけど、あいつが許嫁だって知ってからは……」
智也が何かを喋る度に、その振動が私の体に伝わって来る。
頬が熱く疼いて、目が潤む。この前の熱い唇が思い起こされて、堪らずに胸を喘がせた。
「だ、だめ…だめだよ。離してよ……」
「…おれにこうされてるの、嫌?」
「嫌かどうかじゃ…ないじゃない…」
「知ってるよ……」
一層腕に力が込められる。智也が私の髪に顔を埋めて来る。こんなにくっ付いたら、きっとこの嵐のような心臓の音も、聞かれてる。
「お、お願いだから…離して…」
「…嫌だったら、自分で逃げろよ」
「っ……」
「お前が逃げてくれたら、もう…諦めるから」
私が本気で逃げようとしたって、智也には敵わないって分かってる。…だけど、智也は、私が逃げる意志を見せれば…解放してくれるって、言ってる。
…私は……
(C)aromarie